明日はベートーヴェンのピアノソナタ

リハーサル
【ピアノ工房レクチャーの問合せ先など詳細はこちら】
http://tdsuenaga.blogspot.jp/2015/02/blog-post_26.html

明日のピアノ工房レクチャーの最終リハーサル。3台のピアノと(当時実際に存在していたものを含めた)3つの異なる調律法でベートーヴェンピアノソナタの響き(音景色)を体感してみたいと思います。

なぜハ短調なのか?なぜ変イ長調なのか?なぜ嬰ヘ長調なのか?なぜ?なぜ…?

たくさんの「なぜ?」に様々な仮説を立てて、表現のヒントを探します。

また、先日末永が芸劇で演奏したベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」についての対談も用意されており「本番までの音楽的な軌跡を追う」「ピアノメーカーの個性から見える作品の姿」はじめ様々な話をさせて頂く予定です。

レクチャー、演奏、対談と盛りだくさんですが、滅多にないこのような機会に是非ご参加下さい。当日券も(お得なペア券も)出ます。お待ちしております!

5月22日~25日京都と大阪「プライベートレッスン」「ソロリサイタル」「レクチャーコンサート」「PTNAステップ」

5月22日~25日まで京都にいます。
(スケジュールと問合せ先は末尾に記載)

滞在に伴い「5月22日(金)10:00~14:00」末永のプライベートピアノレッスンが京都の旭堂楽器店で用意されています。聴講は残念ながらできませんが、ぜひレッスン受講にご興味頂けましたら大変嬉しく思います。

「同日の夜18:00~」大阪はグローバルユースビューロー㈱でソロリサイタルがあります。合わせてご来場下さい。

なお「翌日23日(土)の昼~」再び京都旭堂楽器㈱にて世界3台ピアノメーカー(Bechstein、Steinway、Boesendorfer)の魅力を探るレクチャーコンサートが開催されます。(詳細が決まり次第、当ブログ記事を随時編集します)

「24日(日)」はPTNAのステップが同じ会場で行われます。

「ピアノリサイタル」「レクチャーコンサート」「プライベートレッスン」「PTNAステップ」へご希望の方は各リンク先をご確認頂きお早めにお問い合わせ下さい。

皆様とお会い出来るのを楽しみにしています!


【スケジュール】

5月22日(金)
 10:00~14:00 プライベートレッスン
 「旭堂楽器店(京都)」

 18:00~19:00 ソロリサイタル
「グローバルユースビューロー(大阪)」

5月23日(土)
 昼~ 世界3大ピアノレクチャーコンサート
「旭堂楽器店(京都)」

5月24日(日)
 PTNAステップ


【各お問い合わせ先】

◆旭堂楽器店(京都)
http://www.asahi-do.net/
Tel: 075 - 231 - 0538
Mail: info@asahi-do.net

◆グローバルユースビューロー(大阪)
http://www.gyb.co.jp/osaka/contact.html
Tel: 06 - 6347 - 5515

◆PTNA(御所南ステーション)
http://www.piano.or.jp/step/schedule/detail/2015052474310.html
Tel: 075 - 231 - 0538
Fax: 075 - 231 - 3440

3月1日ピアノ工房レクチャー(ピティナ後援イベント)


3月1日(日)に八王子はユーロピアノ工房で末永が関わるレクチャー(ピティナ後援イベント)があります。是非ご参加下さい!

毎回「テーマに信念を持って」取り組み、小規模ではありますが6年間「大切に」続けているイベントです。テーマはベートーヴェン。楽曲は「悲愴」「月光」「テレーゼ」「ワルトシュタイン」など。調律法を変え、当時の響きからどれだけの表現のヒントを得れるのか??贅沢にもフォルテピアノ、タイプの違うモダンピアノ(Bechstein)2台の計3台を使用し楽曲の一部を音律サイドから徹底的にアプローチします。実際にあった歴史に触れるのも一興。ピアノというとても身近な楽器と、ベートーヴェンピアノソナタという最も身近とも言えるクラシック音楽の名曲、だからこそ。

難しそうな話ですが、そんな難しい言葉は使わずシンプルに進め、決して頭でっかちにならない、超実践タイプのレクチャーです。音律における難しい「数字」は出しません。しかし音と音の関係性から聴覚を通して感じる音楽表現の根源を強烈に垣間見るでしょう。ためになるからこそ発信し続けている小さく熱いレクチャー。ピアノを弾かれる方には是非お勧めです。まだ空席がございます。

ピアノを愛する方、音楽を愛する方、プロアマ問わず全ての方々にその扉は開かれています。滅多に「この距離感で体感できない貴重なチャンス」を共有するため是非ともご友人、生徒さん達などと一緒にご参加ください。こちらはペア券などお得なチケット等用意されています。チラシ画像を是非ご確認ください!

弾き合い会

武蔵ホールでの弾き合い!
ユーロピアノ㈱が主催している第2回ベヒシュタイン倶楽部@武蔵ホールで、プロアマ問わず音楽を愛する方々で弾き合い会があります。楽しく弾き合って親交を深めませんか?末永が講評(講師)を 務めさせていただきます。締め切りは過ぎていますが、若干の空きがあるとのことです。室内楽での参加も可能です。「舞台での演奏経験」を積む貴重なチャン スです。ぜひとも大切なステップを上って下さい。

イベント後は懇親会もあり、皆様との繋がりを持つことができます。地元付近だけでなく、関東近郊からの参加者もいらっしゃいます。末永も恐縮ではございますが、講評と少し「いろんな」お話をさせて頂きます。

武蔵ホールの特徴は美しい音色が降り注いで来ることです。西武池袋線武蔵藤沢「駅前」なのでアクセスもいいです。

リンク先にある参加料はじめ各詳細をご確認いただき是非ご応募ください。お申し込みやご質問等はリンク先にある連絡先にお問い合わせいただくか、もしくは直接末永まで連絡頂くことも可能です。よろしくお願いいたします。

http://www.euro-piano.co.jp/event/muh20150308/

ストラヴィンスキー終了!

紅林先生と
2日前になりますが、コンサート終了しました!楽しかった!ストラヴィンスキーも気持ちとテクニックが合致して笑みがこぼれる程の興奮。ヴァイオリンっていいなぁと再認識。勉強させて頂きました。

・・・でもね、母校桐朋学園の紅林先生と演奏した他の連弾は色んな意味で緊張したなぁ。僕のことを高校時代から知っている…。コンサート後、落ち着かせることの出来ないホットな気持ちをもってレッスンでしたが、案の定テンションの高いレッスンに。生徒たちも思い切り「音楽」してくれました。感謝。写真は恐れ多くも紅林先生と。お客様はじめ皆様ありがとうございました!

都民芸術フェスティバル2015でのベヒシュタインピアノとベートーヴェンについて

演奏直後
東京都交響楽団コンサートマスター矢部達哉氏と
指揮者レオシュ・スワロフスキー氏と

【感謝】

この言葉以上に、レオシュ・スワロフスキー氏、東京都交響楽団はじめ、今回お世話になった方々への気持ちを伝えることが出来るでしょうか。そして、その日に限って天候も悪かったのにも関わらず多くのお客様に恵まれたこと、終演後たくさんの温かい拍手とお言葉を頂戴したことに心から深く感謝申し上げます。


東京都交響楽団の素晴らしさはもちろん前から知っていました。コンサートにも何度も行かせて頂きました。しかし「共演」という立場になって、その素晴らしさは何倍も大きいものとして体感させられました。そもそもオーケストラについての感想を書くなんて僭越ではありますが、しかし東京都交響楽団の奏でる余りにも素晴らしい音色と音楽だからこそ、さらに少しでも多くの方々に知ってもらいたいと思うのです。

今回初共演となったスワロフスキー氏は懐が深くて温かく、とても情熱的な音楽家です。前日のリハーサル開始前の打ち合わせで初めてお会いしましたが、直ぐに両腕を開いて受け入れてくれました。とても嬉しかったです。また、マエストロの素晴らしく、そして情熱的なタクトは音楽を「造形」しているかの様でもあり、演奏中のあの興奮が体の奥に未だに残っています。マエストロは普通にドイツ語も話されるので、個人的には音楽についてをドイツ語で話すことに格別の喜びがあります。しかもベートーヴェンとなれば・・・最高です。

素晴らしい指揮者とオーケストラと共演させて頂くことは、ピアニストにとってこんなに光栄なことはありません。お客様へだけでなく、僕にも多くの感動を与えて下さり、同時にたくさんの"気づき"もあり勉強させて頂きました。「音楽って素晴らしい」と素直に思います。心の底から湧き上がる感動によって勇気をもらいます。「今生きているんだ」と強く感じます。それらが音楽のチカラであり魅力なのかと。消える事のない心からの感謝を胸に・・・

♪-------------------------------------------------♪


【ピアノについて】

さて、この件に関してはしっかりと腰を据えて書きたかった。当日、多くの方々が「いつもと違う」不思議な響きを体験されたかと思う。コンサートを終えまだ2日ほどしか経っていないが、それでもピアノについてのメッセージをたくさん頂戴する。

Beethoven Klavierkonzert Nr.5

まず、ピアノについて書く前に、僕がなぜベヒシュタインピアノを選んだかを記したい。今回のコンサートでベートーヴェン「皇帝」は3回目となる。このお話を頂いた時「(自分の中で)今までにない音楽的アプローチをしてみたい」とすぐに思った。普段の活動で「ピアノに関するさまざまなレクチャーコンサート」もしているので、メーカーにおける特徴と音楽の関係性を考えた。音色のパレットが豊富であり、コンチェルトとしてオケに対当するパワーを持ち、煌びやかさもありながらもどこか内的なぬくもりを有しているピアノ。奇をてらうのではなく、あくまでも「音楽性にマッチ」するもの。そして「オーケストラ対ピアノ」になるのではなく、華やかさがありつつも「室内楽的な親密性と響きの融合」を欲しかった。さまざまなメーカーがあるが、そこで思いついたのがベヒシュタインと言うドイツのピアノである。創業はスタインウェイと同時期だったかと。ビューロー、リスト、ドビュッシー、シュナーベル、ケンプ、ゼルキン、リヒテルなど他、錚々たる歴史上の巨匠たちが愛したピアノだ。 最近で言えば、シフやリフシッツ、エルバシャなどが愛用している。

日本のコンサートホールはほとんどがスタインウェイが入っている。コンサートで聴く音色は、ソロ、室内楽、コンチェルトであれスタインウェイの音色を聴くことが大多数であろう。そんな日本の音楽環境の中、この都民芸術フェスティバルという大きなイベントでベヒシュタインの音色を披露するのはある種の「挑戦」だった。今回使用した「D282」というタイプは(欧米など海外ではすでにコンチェルトで普通に使用されているが)日本のコンチェルト史上まだ誰も弾いていなく今回が初披露だった。だからコンチェルトでの響きがどうなるか誰もわからない。なので、普段聴きなれているスタインウェイとはまた違った音色、響きを感じられたのではないかと思う。楽器を変えることにより見えてくる楽曲の多様な側面を味わうのも個人的には興味深いところである。


~ベヒシュタインピアノとは一体どういうピアノなのか?~

打鍵約10mm中の奇跡

特に印象的なのは①「透明度の高いクリアな響き」②「音の減衰」③「弱音」④「音色の豊かさ」ではないだろうか。①に関しては、これは響板での振動のさせ方に構造上ある工夫が(もちろん響板だけでなく他にも様々な工夫がある)深く関与している。一つ一つの音色がクリアに残り響き方も違うからこそ、音が連続したり重なったりする時に創り上げられる響きの具合が変化する。バッハの様なポリフォニーで書かれた各ラインが聴きとりやすくなるのも、その特徴の影響の一つと言える。スタインウェイの持っている一音一音の肉付きとは全く違う。また、異なった和音がペダルや空間残響時間の影響で重なり合う時、透明度の高い響きのグラデーションが発生する。重なりにおける透明度とは、その和音が「その和音として残り続け」残響によりそれぞれの和音の姿が見えなくなるということが起きにくいことを意味している。関係する特徴として②「音の減衰」が挙げられる。ベヒシュタインピアノは音の立ち上がりは速く、その分輪郭が聴こえやすい。同時に音の減衰が早い。これは上記にある通り、空間に描かれる響きの色彩が混ざり続けない原因の一つである。ペダルを多少長く踏んで和声が変わっていったところでクリアな音色も手伝い「濁り」が発生しにくい。例えば、黄色と緑を混ぜた時に、黄緑にもなるが、そこには黄色も緑もそのまま存在しているのが見える、そんな感じだ。ベートーヴェンの月光の一楽章はあの雰囲気を出しやすいかもしれない。

響きを確認して下さいってる調律師の加藤さん

~唯一無二の特徴~

スタインウェイ、それは世界最高峰のピアノの一つである。多くの魅力に溢れているが、それでも華やかさ、力強さ、その重厚な響き、それらがグッ!と拡がる感じ、壮大な響きが残り続けるところはスタインウェイの唯一無二である素晴らしい特徴の一つと言える。ではベヒシュタインはどうか?それは③「弱音」の持っている音色の豊かさ、繊細さであり、唯一無二であると断言できる。まるで今から約7百年程前に生まれたクラヴィコードのようだ。mf、p、pp、pppなど、弱音に向かった時の音色の世界は完全なる個性的な響きの世界を築き上げている。両者、弱音は綺麗に鳴るが、その方向性は全く違うものだ。

東京芸術劇場コンサートホール
他にも様々な特徴を持ってる。これまでのベヒシュタインは高音域の性格的主張が控えめだった。しかし今回使用した最新モデルD282は高音域における「懐かしさを帯びる金属のような煌めき」を生んでいる。個人的には昔のフォルテピアノ(今のピアノの前身)を想像させる。そして④「音色の豊かさ」も興味深い。その音色のパレットは「音域における明確な音色の違い」となって現れている。これは、フォルテピアノからモダンピアノに変化していく際、様々な音色を要求されてきたものでもある。要するに他の楽器と協調しやすく混じりやすい。(便宜的に三部に分けるが)低音域、中音域、高音域は違う音色に鳴るよう意図的に「作られている」。均一化が計られていない。

要するにベヒシュタインピアノが今もなお大切にしている特徴は「鍵盤楽器の歴史によって培われてきた伝統を、今のように巨大化されたモダンピアノになってもそれを活かそうとしている」ことなのである。

そのようなピアノでベートーヴェンのピアノコンチェルトを演奏すると「良い意味」で普段我々がいかにスタインウェイ慣れしているか感じられる。演奏していてもそれを強く感じる。スタインウェイも非の打ちどころのない素晴らしさがあるが、ピアノが変わるだけで作品は全然違った音楽的姿を映し出すところがこれまた非常に面白い。スタインウェイもベヒシュタインも明確なキャラクターを有しているがその方向性は全く違うものである。

~今回のプログラムがベートーヴェンでなかったどんなピアノを使用していただろうか?~

僕は各ピアノメーカーには心から尊敬の念を抱いている。スタインウェイだって心から愛してる。ラフマニノフを演奏する機会があれば製造年も考慮しスタインウェイで弾いてみたいとも心から思う。素敵なシューベルトの作品をザウターで演奏してみたいとも・・・。逆にこのピアノだったら何を弾こうかとも考える。カワイだったら?ファツィオリだったら?ヤマハは?プレイエルは?などと。他にも本当にたくさんのメーカーが(日本を含め)世界には存在し、それぞれの個性が脈々と生きている。ピアノはメーカーだけでなく、それだけでは区分出来ない一台一台の「声」を持っている。人と同じように。それらと音楽性の関係性を考える事はとても心躍ることであり、音楽芸術を深める大切な一端を担っている。「あの作曲家のあの作品ではこのメーカーで弾いてみたい、あのピアノではあの作曲家のあの作品を」と思うのである。このブログ記事で問題提起をする気は毛頭ないが、それでも、ピアニストとしてコンサート会場でのメーカーの選択肢がもう少し拡がればいいなぁと思ってしまうのである。それがどれだけ様々な創造性を生み出し、心や気持ちを豊かにさせ「音楽を耳にする全ての人たちにとって」躍動感あふれる幸せに繋がっているか、疑いの余地はない。

リハーサル
お客様の中でこのようなコメントを残された方がいた。「弦楽器の場合は楽器の紹介(何年の何を使用)のようなものがプログラムに記載されている場合が多いが、なぜピアノはないのか?」と。これはとても興味深い指摘である。「楽器と演奏者と音楽作品の関係」をもう少し前面に出していいかもしれない。

5年前、僕は同じ場所でベートーヴェンの皇帝を「スタインウェイ」で演奏した。そして今回のフェスティバルで「ベヒシュタイン」を使用した。「二つの異なるピアノで皇帝を演奏できたこと」を誇りに思う。そしてベヒシュタインピアノ使用にあたり、ホールにピアノを持ち込むことは決して容易ではないのにも関わらず、このために楽器をご提供して下さったユーロピアノ株式会社、使用へ快くご理解頂いた主催の日本演奏連盟、共演にあたり感動的な音楽的アプローチを持ってピアノを支えて下さった東京都交響楽団、スワロフスキー氏はじめ全ての関係者の皆様に心から感謝申し上げたい。

♪-------------------------------------------------♪


・・・申し訳ありません、長くなってしまいました。ピアノや音楽ついて書くと止まらなくなってしまいます。これは、音楽を愛するただ一人の人間が思うことであり、それぞれ違った感覚を、時として全く違った印象を持たれることも普通にあります。だから面白いのです。多様性。

皆様とはまたどこかでお会いできますことを願いつつ、これから先も温かな目でご支援頂けましたら幸いです。本当にありがとうございました!

コンサートを終え、思ったこと


昨日は長野県佐久市にある「穂の香ホール」でレクチャーコンサート。ほぼ満席のお客様にお越し頂き会場は熱気に溢れていた。とても嬉しかったのは子供たちが多かったこと。これからの日本の未来を担っていく彼らにこのような文化的事業を体験させるのはとても有意義かと。子供は無限の可能性を秘めている。誰もその種類や限界を知ることはできない。音楽など、感性を刺激する「体験」は無意識レベルに細胞に浸透し2度と消える事のないものとして記憶される。その体感されたある種の振動は、これから大きく育って行く子供たちに「創造性」という波を起こさせる。人生におけるクリエイティヴな感覚は、彼らがどんな道に進もうと、人生という深い森を切り開くための強力な武器となる。今回のような企画がもっと充実することを切に願う。芸術関係への理解が乏しい日本という国だからこそ。

さらに思うのは、企画する側のモチベーションはそのまま会場やお客様、チラシなどのアイテム全てに影響する。やはり企画者がやる気に満ちて生き生きとしていると、全てのシーンでその「気持ち良い」やる気が伝わる。だから舞台に立っていても楽しい。今回のコンサートは隅々まで生き生きとしていて瑞々しさに満ちてた。しかし現実問題としてその全く逆も起こりうる。難しいものだ。

さて、コンサートはテーマが「ピアノの歴史と魅力」ということもあり、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、リストを演奏。BechsteinD282(モダンピアノ)とDulcken(フォルテピアノ:19世紀初頭のレプリカ)を使用。1つのステージでモダンピアノとフォルテピアノを同時に使用するのはとても難しい。演奏技術が全く異なる。しかし、音色や音楽を構築する際、それらの感覚はとても重要なヒントを与えてくれる。調律師の加藤さん(ユーロピアノ)とタッグを組み1つのステージを担当させて頂いたが、毎回思う。「ピアノってなんて楽しいんだろうか」と。とても身近な楽器だけどヴェールに包まれた数々の魅力に溢れている。だから加藤さんがトークをしている時も、途中我慢できずさえぎって質問などしてしまう。(この質問と答えが、それもまたお客様のためになればと願いつつ)

使用したBechsteinD282は明後日、池袋の芸劇でベートーヴェンの皇帝を演奏するのと同じもの。日本にまだ1台しかないBechsteinの最新モデル。コンチェルトでの披露は、日本では初めてとなる。とても光栄なことだ。

コンサートを終え、第2部はオーディションから選ばれた子たちが素晴らしい演奏を披露してくれた。心躍るような気持ちで聴かせてもらった。終演後、たくさんの子供たちがBechsteinとDulckenに集まり交互に試弾していた。子供たちがどれだけ心から楽しんでいたかは、演奏している時の表情や驚きの声を聴くとすぐにわかる。素晴らしい経験となったに違いない。

ここ、穂の香ホールの雰囲気はとても温かい。広さも丁度良い。ここで子供たちはじめ音楽を愛する未来のピアニストたちを集めて公開レッスンやワークショップが出来ればいいなと夢を膨らませながら会場を後にした。

人望が厚く優しい笑顔が印象的、そして今回の企画をとりまとめていた担当の先生はじめ全ての関係者に心からの感謝を、そして再会を願いつつ・・・


家族はまだ夢の中。コーヒーを淹れて静かに音楽をかける。リビングに停滞していた冷たい空気が少しずつ対流を始める。窓から見える森の向こうは少しずつ赤から青へと変わるグラデーションを描いている。誰もいない部屋の中は立ち上るコーヒーの湯気により温かな香りに満たされていく。

子供たちが起きればそんな静寂もどこかに行ってしまう。しかしそれでいい。窓を見ると曇りガラスに当てた手の跡が残っていたり、子供用のテントの中には風船があり、周りを見ると所々にぬいぐるみが置いてあったりと、遊んだ名残がある。それを見ていると起きてくる家族に待ち遠しさを覚えたりする。何てことはない毎日の事なんだけど。

家族が起きる前にそろそろ行かなくては。今日は長野でコンサート。心に残る時間になればいい。
…なんて事を書いてたらコーヒが冷めてしまったよ。

スーツ

今日はテーラーの方に自宅まで来て頂き仮縫いをチェックしました。ただのスーツではなく演奏上必要な動きにストレスを与えないため、かなり色々な言葉を交わし、そして実際にピアノを演奏しながら微調整していくこと2時間。何が凄いってピアノを弾いてても肩や背中のストレスを全く感じない、「あれ?上着着てるっけ?」とわからないくらいに仕立ててくれていることです。仕上がりが楽しみ!

来月末には出来上がるとのことなので4月以降のコンサートで着ていこうかと思います。1つはコンサート用、1つはレクチャーコンサート用。ディヴァンオケのDVDを観るとそこで着ているバレンボイムのスーツが本当に素晴らしい。中身が伴うよう頑張ります。



ピアノの弾き込み

Beethoven with BechsteinD282
今日は朝から八王子にあるピアノ工房でBechsteinD282の弾き込みをした。このピアノはつい先日、世界的ピアニストであるリフシッツ氏のリサイタルで使用された。2時間ほど弾き込んだ後ようやく楽器が鳴り始めた。リフシッツ氏のコンサートのあと再調整され、どんな感じだろうと期待を膨らませた今日。あの時に耳にした吸い込まれそうな弱音はまだ生きてた。

来週18日、池袋の芸劇で都響とベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏する際このピアノを使用するが、その2日前に長野でのコンサートでも使用する。長野ではBechsteinだけでなく、19世紀初頭のフォルテピアノ(今のピアノの前身)も使用する。

フォルテピアノとモダンピアノは響きは勿論のこと、演奏技術も大きく異なる。だから1つコンサートで両方使用する時は違った集中力を要しとても難しい。しかし、フォルテピアノで得る感覚(タッチ、響き、体の使い方、あらゆるコントロール)はモダンピアノで演奏する際とても役に立つ。明らかに感覚の幅が拡がる。色々なメーカーのピアノだけでなく、クラヴィコード、チェンバロ、フォルテピアノ、パイプオルガンなど、様々な鍵盤楽器を触るのを強く勧めたい。音とタッチの関係。

約6時間弾き込んだ結果、このBechsteinD282とかなり近くなれた気がする。個人的に気になったところを調律師に伝え、このBechsteinは今日長野に運ばれた。数日後のリハーサルで再会できるのが楽しみだ。「技術者、ピアノ、演奏者」の関係はとても、とても大切なのだ。

やはりこういう生徒との出会いは嬉しいものです

Schumann Dichterliebe Op.48

朝はいつものように丁寧にコーヒーを淹れる。いつものように朝日の差し込むリビングに小さくラジオをかけていつものように家族との朝食を楽しむ。

午前中はベートーヴェンの1楽章を集中的に練習する。しかし結果あんまり良い練習とは言えなかった。特に後半は自己満足で終わってしまう惰性的な練習になってしまった感がある。気がつけば家族はすでに昼食をとっていた。長女が呼びに来たと言っていてが全く覚えていない。ゴメンなさいと言いつつ椅子に座る。

30分程度すると今日最初の生徒が来た。ショパンのノクターンをレッスン(今回のテーマは"トリルは速いだけじゃない")。その後次の生徒が来た。ブラームスとシューマンをレッスン(テーマはレガート)。その後次の生徒が来た。話し合い重視で、これまでの気づきと今後の課題について話した。最後の生徒は夕食を共にしいろんな話題に華を咲かせた。たまにはこういうのも良い。レッスン時とは違った素の気持ちを垣間見る。

弾けるレベルは様々だが、やはり積極的に学ぼうとする姿勢は心を打つ。こちらも「ちゃんと伝えたい」と思う。「教えてもらおう」という姿勢は結局受け身によってそれ以上の学びの枠を出ない。しかし「(自ら)学ぼう」という姿勢は、その貪欲さ、または柔軟で豊かな想像力も手伝い無限の気づきを与えてくれる。同じ勉強する環境でもスタートラインにある気持ちの種類によって、全く異なる結果を生む。自ら積極的に学ぼうとする姿勢を持っていたいものだと改めて自分に思う。

明日も朝から早い。けどちゃんとコーヒーを淹れてゆっくり飲みたいので少し早起きしよう。


Ganz voll (いっぱいいっぱい)


大学後期試験審査開始数分前にホールに駆け込みギリギリセーフ。朝から始まった試験も1人約1時間程度弾くがっつりしたプログラムを昼まで聴く。学生達の素晴らしい演奏に感動さえ覚える。

学食で290円のカレーをどの学生たちよりも(多分)速く食し、40分だけ空いた時間にレッスン室に駆け込み、ストラヴィンスキーの譜読みと来週控えている長野でのコンサート、芸劇でのベートーヴェンの細部チェックを研ぎ澄まされた集中力を持って取り組む。体感時間約3分程度。

ギリギリまで練習してしまったせいで午後から開始する副科ピアノの試験にまたもやギリギリに駆け込む。先生方に頭を下げまくる。そして大学側から与えられていたはずの鉛筆を紛失し「すみません、自分の鉛筆を使います」と言って筆箱を見るがボールペンしかない。哀れんだ眼差しを浴びる中急遽その場で他の先生から鉛筆をお借りする。キティちゃんの。緊張の場が和みました。

予定より試験が早く終わり、レッスン開始まで25分程度余っていたので速攻試験会場を後にしレッスン室に駆け込む。

駆け込み駆け込み駆け込みまくる今日。

ベートーヴェン皇帝の細部の響きと暗譜を確認。そうすると生徒が来た。この体感時間約1分程。ショパンの練習曲op.25-1とワルツをなるべく早口にならないように落ち着いてレッスンする。レッスンで言うことって結局自分に言ってることでもあるんだよね。

レッスン終了後、次のリハーサル開始まで10分を切り、車に飛び乗り気持ちは速いがちゃんと法定速度で向かう。

ヴァイオリニストの方の自宅でリハーサルだったが、なんとリハーサル開始前に「お疲れ様。時間も時間だからお腹すいたんじゃない?ご飯あるよ?食べる?」と温かいお言葉を頂戴する。

・・・カレーが出てきました。カレーアゲイン。でも心配ご無用。僕は毎食カレーが出てきても心から喜ぶカレー男子です。そしてこれがまた超美味。感謝。身もココロも温まり元気出ました!

口の中に広がるカレーの後味を楽しみつつリハーサル開始。ストラヴィンスキーを丁寧に、テンポ、音程、バランスなど構築。次回のリハーサルが楽しみです。

あっと言う間に今の時間、夜の10時を回ったところ。そろそろ帰宅。奥さんと夢を見ている子供たちに会えるのも、これもまた楽しみです。さて、明日はどんな1日になるのだろう?








バッハ平均律曲集第1巻全曲演奏会

リフシッツ氏と
リフシッツ氏のバッハ平均律第1巻全曲演奏会を聴く。一音一音が苦しいほどに心に届く素晴らしいコンサートだった!使用ピアノはBechsteinD282。終演後、挨拶を兼ねて今回使用したベヒシュタインピアノについて幾つか言葉を交わしました。同じピアノを近日控えている長野と東京でのコンサートで使用させて頂きます。これもまた楽しみです。

素晴らしいバッハを聴いた後、実家に預けていた子供達をピックアップし、今は車内で「いないいないばぁ」を聴く。これもまた良し。

Asian Meeting Festival 2015


昨夜は大友良英氏がアーティスティック・ディレクターを務めるアンサンブルズ・アジアのコンサート「アジアン・ミーティング・フェスティバル2015」を聴きに行った。素晴らしい、の一言。なんと言うか…とても「アート」を感じた瞬間。アジア各国から集結された他ジャンルのアーティスト達が「音」を軸に即興で奏する濃密な創造の時間。人間と音と創造性の原点に触れている感覚。コンセプトの一部は僕が最も注目しているユースオケの一つWEDOにも共通するところがあり、個人的にも強く共感する。

〜大友氏からのコメント〜
アンサンブル・アジア
アジアの様々な都市や地域に続々と生まれつつある音楽や、脈々と生き続けてきた音楽を前に、めまいがしそうなほど僕は興奮している。多様な音楽のありようを見ていくことは、一つの歴史軸や文脈だけでは読み取れない世界をどう見ていくかということだ。まずは互いを知ることから始めること、そしてそこから生まれてくるものを丁寧に見ていくこと、それをアジアの隣人達と共に探していくこと。そこでどう音を響かせていくか。Ensembles Asiaがはじまります。